今月の月間チルドレン

うそつき

 

自分で振り返る私の子供の頃の印象は、嘘つきなのです。

なんだかとても頻繁に嘘をついてた気がします。
自覚のあるもので最初についた嘘は幼稚園のときです。
入園して間もないころだと思いますが、母親に幼稚園で何をしたのか聞かれ、私は「皆の前で歌を2曲歌った」と嘘をついたのです。自分でもよくわかりませんが、これは嘘というよりほら吹きに近く、単に母親に誉められたい一心だったと思いますが。
この時のことはうちの母親が先生に問いただしたのか、後でバレました。
怒られたのかどうかは覚えていませんが、バレたという心地悪さの初体験でした。

小学生になってからは人を欺くための悪意のある嘘をつきました。
お金を盗ったり、学校や習い事を休むための嘘でした。人を陥れるための嘘や、嘘泣きもよくやりました。

一度、親が集めていたある会費を盗ったときはさすがにすぐバレました。しかし「お金を知らないか」と聞かれ「知らない」と嘘を突き通しました。バレてるのは明白でしたが、どうしても「盗った」とはいえませんでした。怒られるのが嫌だというより、親の期待外れのことをする悪い子供と思われ、見放されたくなかったのでしょうか。
当時の私は「お前は要領がいい」と父親にいわれることがよくありまして、怒られる前に何かしら工作したり、お手伝いやご機嫌取りしたりして、罪を免れることが上手だったようです。このお金の件でも、姉に罪をなすりつけるべく、「姉の机にお金があった」と別のところからくすねたお金をわざわざ母親に渡したのです。

思えば自分を『いい子』にすべく、よく姉を利用しましたね。
あの頃どうしても食べたい憧れの食品に、マルシンハンバーグというのがあったのですが、母親はそういう加工食品は絶対買わない人だったので、自分で買いに行ったのです。そうしたら食べる前に見つかりすごく怒られたのですが、この時も「姉ちゃんが買えといった」と安易な嘘をいいました。
また、諜報員のごとく姉の机を物色して「姉ちゃん、漫画買ってるで」などと母親に報告し、叱られる姉を見ていたのも私です。

家だけでなく、学校でも『いい子』でした。
学校では嘘泣きをよく活用し、クラスの男子や女子までも陥れました。
子供の頃は泣いた者勝ちでしたからね。

しかしこんな私でもいつの日か、嘘をつくのがとても苦痛になってきました。
幼少の嘘三昧の反動といえばいいのでしょうか?過去の自分のついた嘘の数々を思い起こすたびに、なんとも嫌な気分になるのです。自分はなんて嫌な子供だったんだと悲しくなります。今でもです。
嘘がばれてるのになお嘘で固めようとする自分の往生際の悪さや、他人に罪をなすりつけわが身を守るずるさなど、他人がやったら軽蔑に値することを自分がやっているのが、恥ずかしくてしかたがありません。
私がかつて嘘つきだったことを、私の家族やクラスの友人は今でも覚えているのでしょうか?「ああ、あの子は嘘つきだったね」と思っているでしょうか?
ああ、消えてしまいたい。

といながら、今でも自分に都合のいい嘘をついてしまうわけではあります。
もちろん、バレるような嘘はつきません。
しかし絶対バレないはずのに、バレた時以上とも思える心地の悪さがあります。
自分はまた嘘をついてしまった・・・という自己嫌悪と、自分はいつまでたっても不正直だという良心の呵責に苛まれるのです。
しかしそれでも嘘をつきます、「罪の意識があるからいいよね?」と言い訳しながら。〆

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